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『冷たい密室と博士たち』
「全てがFになる」から1年後、犀川と萌絵のコンビが所属する大学の、低温実験室で起こる密室殺人。
実験室で学生2人の死体、ダクトスペースでは腐乱死体が発見され、たまたま訪れていた2人が巻き込まれる。
実質上のデビュー作。前作から一転、王道のミステリー
「すべてがFになる」に続く、森博嗣の2作目。いい意味で常軌を逸していた前作とは異なり、スタンダードなミステリーが展開されます。
実はこちらがデビュー作となる予定でしたが、デビュー作は派手な方がいいという出版社の判断で、前作が先に発売されたという経緯があります。
ミステリーとして地に足のついた流れで、一つの事件だけでは終わらず、二転三転する物語。
一方で、モデムやフロッピーなど、懐かしいコンピュータ用品が出てくるところは、理系ミステリーならではでしょう。
前作にはなかった複雑な人間関係の要素があり、登場人物たちの感情の移り変わりが透けて見えるドラマチックな展開に、読了後は切なくなることでしょう。
引き続き登場する、犀川と萌絵のコンビによる掛け合いも、作品の楽しむポイントの一つ。
命の危険にさらされた萌絵に、犀川が駆けつけるシーンも見どころです。
初登場となる喜多助教授は、今後のシリーズ作品にも出てきます。
あなたは、大切な人のために、自分の命をかけることができますか? 3. 『笑わない数学者』
「三ツ星館」には、著名な数学者である天王寺翔蔵博士が住む。自宅で開いたクリスマスパーティで、大きなオリオン像を消してみせる博士。
翌日、オリオン像が現れ、同時に2つの死体も発見される。
館の謎と殺人事件のトリックに、犀川と萌絵のコンビが挑む。
ラストにゾワッとさせられる、森博嗣初の館もの
森博嗣の3作目は、山奥にある風変わりなデザインの館が舞台。
いわゆる「館もの」とあって、天王寺翔蔵博士の周りにはドロドロとした人間関係が渦巻いています。
「内側と外側」の定義を主体として、博士から提示された謎を解いている最中に起こる殺人事件。
オリオン像が消えた謎と、殺人事件の謎を同時に追っていく必要があり、読者の頭はフル回転させられます。
作中、美しい描写で表現される三ツ星館は、現実離れした非日常空間という雰囲気で、複雑な人間関係と様々な謎も組み合わさり、非常に濃厚な作品です。
なお、ラストに明かされる、とある事実に、あなたはゾワッとすることでしょう。
最後まで、読み手の気が抜けない作品です。
4.
すべてがFになる【S&Mシリーズ全10冊合本版】- 漫画・無料試し読みなら、電子書籍ストア ブックライブ
今回は森博嗣(もりひろし)さんの『S&Mシリーズ』の読む順番やあらすじをまとめました! 森博嗣さんの代表的作品であるS&Mシリーズ。
Sは犀川創平、Mは西之園萌絵のファーストネームを表しており、このシリーズの探偵役であり主人公たちの名前です。
シリーズの中でも1作目の『すべてがFになる』は、ミステリファンなら知らない人はいないであろう超名作。ぜひ読んでいただけたらと思います。
推理だけでなく世界観を楽しもう! さて、このS&Mシリーズはミステリー小説ではあるのですが、 面白いところはミステリ部分以外のところにも多くある のです。
それは、著者独特の世界観の中にある犀川と萌絵の二人の関係性だったり、掛け合いだったり、シリーズを通しての成長だったり。
要は、 たとえミステリー要素がなかったとしても小説として面白い 。
逆に 「ミステリー小説はあっと驚くどんでん返しのトリックや展開があってこそだ!」 という人には、このシリーズは向かないかもしれない(とはいっても、『すべてがFになる』は読むべき)。
普通の小説としても、この作品の世界観や、個性的な登場人物たちによる人間ドラマが非常に魅力的なのです。(作品タイトルも超美しい)
長くなりましたが、以下がシリーズの順番です。
参考にしていただければ幸いです(=゚ω゚)ノ
【森博嗣】『Vシリーズ』の順番とあらすじ【瀬在丸紅子】 森博嗣さんの超面白いおすすめ「シリーズ作品」まとめ 【森博嗣】シリーズ作品以外のおすすめ単発小説7選
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【森博嗣】S&Mシリーズの順番とあらすじ【すべてがFになる】 | 300books
作品内容
N大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵のコンビが難事件を解決。アニメ原作の『すべてがFになる』から始まる「S&Mシリーズ」10作品を完全収録! 【収録作品】『すべてがFになる』『冷たい密室と博士たち』『笑わない数学者』『詩的私的ジャック』『封印再度』『幻惑の死と使徒』『夏のレプリカ』『今はもうない』『数奇にして模型』『有限と微小のパン』
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すべてがFになる【S&Mシリーズ全10冊合本版】
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森博嗣
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購入済み 名作
レム
2021年07月18日
何度読んでもいい。森博嗣さんの作品は淡々とした文章が特徴なので、淡々と読んでいると、いつの間にかすごいところに来てしまっているという感じ。色々な作品に出てくる真賀田四季が生身の人間として出てくるので、感慨深いものがある。
このレビューは参考になりましたか? 購入済み 最悪
エセかねか
2015年01月15日
星つけたくない。マイナス。久々に、本を買ってお金をドブに捨てたと後悔。
余りにつまらない。文章に美しさがなく、盛り上がりに欠け(というより無し)…読み続ける事を苦痛に感じる。
登場人物に魅力がなく、トリックも単純でつまらない。犯行動機も。
何の意図があるのか不思議な事が一つ。
モエ(あるい... 続きを読む
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『数奇にして模型』
模型イベントの会場で、首のないモデルの遺体が発見される。現場は密室で、横には他の殺人事件の容疑者が、後頭部を叩かれ昏倒していた。
単純かと思われた事件は複雑になっていく。
シリーズで一番猟奇的な犯行に、犀川と萌絵のコンビが対峙する。
シリーズ史上最難解の謎。キャラ総出演と2つの密室
S&Mシリーズ9作目。
シリーズを追うごとに増すページ数。今作は、1週間の出来事が700ページで語られます。
ですが、登場人物のキャラクターが濃く、テンポのいい会話、次々と起こる出来事も相成って、中だるみもなく、とても読みやすい作品です。
シリーズ終盤とあって、今までの登場人物が総出演といった感があり、それに加えて強烈な新キャラも。
シリーズ異端だった前2作から本筋に帰り、那古野を舞台に、2つの密室の謎を追います。
毎回、事件に関与することに消極的な犀川ですが、今作ではアクティブに動き回ります。
そして、相変わらず事件に首を突っ込みすぎて、危ない目に遭ってしまう萌絵。
また、ところどころでプラモデルやフィギュアなど、模型に対する作者の世界観が垣間見える表現も見どころですよ。
なお、最後の解説では、作者の意外な過去に触れられています。
次は、いよいよ最終作です。
10. 『有限と微小のパン』
日本最大のソフトメーカ-「ナノクラフト」が経営する、長崎のテーマパーク。
ゼミの先遣隊として友人たちと訪れた萌絵は、謎の死体消失事件と密室殺人に遭遇する。事件の影には、あの真賀田四季博士が…。S&Mシリーズのラスト作品。
真賀田四季博士、再降臨。現実と虚構。シリーズラストにふさわしい完成度
S&Mシリーズの最終巻。900ページ近い、シリーズ最長のボリューム。
「すべてがFになる」の真賀田四季博士が再登場し、圧倒的な天才ぶりと存在感を見せつけます。
事件の裏に仕掛けられたトリックも、読者の予想を遥かに上回る壮大なスケール。
各章の頭には今までの作品からの引用文があり、この作品がシリーズ集大成だということを感じさせます。
1998年の作品ですが、当時はまだ一般化されていないVR(仮想現実)を駆使した展開や、人工知能、アンドロイドが登場し、作者の先見の明に圧倒されるでしょう。
当時以上に発達した仮想現実や拡張現実について、考えさせられますよ。
ひょっとしたら、2021年の今こそ、読むべきシリーズなのかも知れませんね。
真賀田四季博士の運命は?そして、2人の関係の行方は?
『幻惑の死と使途』
「どんな密室でも抜け出してみせよう」日本で最も有名な天才マジシャン有里匠幻が、脱出マジックのさなか、衆人環視のもとで殺害される。
さらに霊柩車から消える匠幻の遺体。その後、周囲の人物も次々と殺害されていく。この怪事件に、犀川と萌絵のコンビはどう推理するのか。
何が真実で何が幻惑なのか。美しきイリュージョン殺人
S&Mシリーズ6作目は、密室ではなくマジックがテーマ。
しかし、奇術という要素が入っても、期待を裏切らないのが森博嗣ミステリー。
今作はさらに、事件と並行してコンビの心情が深堀りされる描写が盛り込まれ、500ページを超えるボリュームとなっています。
また、萌絵の成長が見られるのも今作の特徴で、シリーズ初作から読んでいるファンは、萌絵が犀川の思考を追えていることに驚くはず。
20年以上前に書かれた作品ですが「だんだん価値がない個人の日記や独り言で溢れかえるようになる」など、現在のブログやSNSの登場を予言するセリフなどは、本当に驚きの一言です。
章は奇数のみで振られており、実は次作の「夏のレプリカ」との連作になっています。
あとがきは引田天功氏が書いており、最後までイリュージョンを楽しめる作品です。
7. 『夏のレプリカ』
西之園萌絵の親友、簑沢杜萌の一家全員が仮面の男に拉致される。
誘拐犯の一人は逃走するが、射殺されて発見。そして盲目の兄が行方不明に…。
前作「幻惑の死と使途」と同時期に起こった事件が、杜萌の視点で描かれる。
シリーズ異色作。親友の視点で描かれる事件と、悲しきチェスシーン
奇妙な誘拐殺人と失踪が描かれる、シリーズ第7作。
萌絵の親友である、簑沢杜萌の視点で展開する異色の作品です。
奇数章で進んだ前作の裏で、今作は偶数章のみで物語が進行します。
同時期の事件ですが、いつもの犀川と萌絵のコンビは脇役となり出番は少なくなっています。
珍しく、理系ミステリー要素もありません。
しかしその分、美しくも哀しい、登場人物の心理描写に力が入っている作品です。
特に後半、怒涛のごとく進展していく物語のラスト、萌絵と杜萌のチェスシーンには、あなたはとても胸が締め付けられることでしょう。
奇数章の「幻惑の死と使途」と、交互に読み進めると面白いかも知れません。
8. 『今はもうない』
嵐の夜、避暑地の別荘。電話も通じない中、隣り合わせる映写室と鑑賞室でそれぞれ一人ずつ、美人姉妹の死体が発見される。
密室状態の現場では、スクリーンに映画が投影されたままだった。
物語はエモーショナルに進んでいく。
【叙情的に進行する物語。シリーズナンバーワンとの声も】
S&Mシリーズの8冊目は、シリーズナンバーワンに挙げる声が多い一作。
密室の謎をはじめ、時系列、登場人物などのトリックが美しく並んで読者に提示されます。
また、読み進めるうちに、誰もが違和感を抱くことになりますが・・・多くを語るとネタバレになってしまう、解説が難しい作品です。
ラストには、シリーズの読者に対する、最大のサプライズが明かされます。
とある人物のセリフでガラッと変わる世界観と、タイトルとの繋がりに、あなたはこの作品がシリーズナンバーワンだと確信するでしょう。
この感覚を体感するためにも、ぜひ「すべてがFになる」から順番に、読み進めることをおすすめします。
9.